ヒト子宮内膜癌にたいするE_2-drug carrierによるsite-directed chemotherapyの基礎的検討

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estrogen receptor陽性ヒト子宮内膜腺癌培養細胞(HEC-1)にたいし,estradiol-17β(E_2)をcarrierとして,Nitrogen mustard(HN_2)を結合させたEstracytによるsite-directedな効果を,遊離型のHN_2と比較しながら,そのcell kineticsにおよぼす効果より,flow cytometryによって検討し,以下の結果をえた.1.HN_2は濃度依存性の増殖抑制作用を示すが,Estracytは,濃度および時間依存性の増殖抑制作用を示し,その殺細胞様式に相違がみられた.2.非同調下における,1μg/ml濃度のHN_2とほぼ等分子相当量の10μg/ml濃度のEstracytは,対照群と比較していずれもS期およびG_2+M期の蓄積とG<0+1>期の一定の減少を示した.しかし,HN_2ではS期の蓄積とG<0+1>期の減少が著明であったのにたいし,Estracytでは,G_2+M期の蓄積が著しく,S期の蓄積とG<0+1>期の減少は軽度であった.3.MTX1ng/ml濃度によるS期同調下では,いずれも,非同調状態に比較して,S期にたいする感受性の増強効果を認めなかった.4.Sodium n-butyrate(SB)1mM濃度によるG_1期同調下のEstracytの効果は,非同調状態に比較して,著しいS期の蓄積と背反するG<0+1>期減少を示したが,HN_2では差異を示さなかった.したがって,遊離型のHN_2が非特異的な細胞障害作用を示すのにたいし,E_2-drug carrierとしてのEstracytの効果は細胞周期に依存し,G<0+1>期,S期には一定の非標的細胞集団が混在している可能性が示唆された.また,gene modulatorであるSB処理によって,Estracytの標的効果が増強できる可能性が明らかとなった.
社団法人日本産科婦人科学会の論文
1985-04-01

ヒト子宮内膜癌にたいするE_2-drug carrierによるsite-directed chemotherapyの基礎的検討

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