子宮外妊娠着床部における母児間免疫反応
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概要
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組織学的に着床部位の確認できた85例の卵管妊娠症例につき,局所免疫の見地ょり着床部位の形態を分析するとともに,5例の卵管妊娠について,局所免疫抑制作用の強い,ヒト胎盤絨毛性ゴナドトロピン(Human chorionic gonadotropin,hCG)の着床部位における局在を観察し,妊娠初期に認められる母児間免疫反応の検討を行なつた. 85症例の内,着床部の基本構造を確認できたのは48例(56%),確認できなかつた症例は37例(44%)であつた.卵管妊娠においては,基本構造の内の,フィブリノイド層の発達がみられなかつたり,リンパ球の出現しない例がかなり存在する事が示された.着床部位を取り囲む形でリンパ球が出現する事実は,トロホブラストに抗原性が存在し,母児間に免疫反応が成立していることを示唆した.しかしながら,このリンパ球が子宮外妊娠の中絶に直接関与する可能性は少ない,と考えられた. 卵管妊娠着床部におけるhCG局在の特徴は,胎児側より母体接点に近づけば近づく程より大量のhCGが存在することであつた.hCGの直接的な免疫抑制作用には議論の余地があるが,hCGを大量に産生する機能を有するトロホブラスト殻におけるトロホブラストが,局所的な免疫抑制の鍵を握つている可能性が示唆された.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1985-12-01
著者
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