子宮頸癌Ib期の予後に及ぼすBMIの影響

概要

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子宮頸癌Ib期手術症例の予後にbody mass index(BMI)が与える影響を評価するために, 筑波大学附属病院で過去12年間に子宮頸癌Ib期の診断で広汎子宮全摘術(ARH)を施行した94例を対象として, BMIとその予後, 予後因子についてretrospectiveに検討した. 94例はBMI-S(BMI<20)21例, BMI-M(20≦BMI<27)62例, BMI-L(27≦BMI)11例に分類され, それぞれの5年生存率はBMI-Sが65.5%, BMI-Mが88.4%, BMI-Lが90.9%でBMI-SはBMI-Mより有意に低かった(p<0.05). 患者背景では年齢, 組織型, 腫瘍径, リンパ節転移率にBMI-S, M, L間に差はなく, 筋層浸潤率が1/2以上ある症例がBMI-Sで80.9%, BMIMで48.4%, BMI-Lで36.4%とBMI-Sが有意に多く(M:p<0.01, L:p<0.05), 術後照射率も高かった. しかしCoxの比例ハザードモデルによる多変量解析では, 筋層浸潤の深さは有意ではなく, 腫瘍径(p<0.01)とリンバ節転移の有無(p<0.05)とBMI-S(p<0.05)が独立した予後因子となった. 一般に, 肥満は術後合併症などが増加し, 子宮頸癌術後の予後が悪くなるものと考えられがちだが, 今回の検討ではやせの方が予後が悪く, BMIが子宮頸癌Ib期手術症例の予後に影響している可能性が示唆された.
社団法人日本産科婦人科学会の論文
2001-05-01