実験的脱血性ショック家兎の代謝性変化に関する研究
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概要
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ショック時の代謝過程における酸素の役割の重要性は従来より広く認められており, 近年, 酸化還元電位を指標として, ショック時の細胞レベルでの代謝動態を解析する試みがなされている. しかし妊娠個体を対象とした報告はほとんどない. 著者は Wiggers の開発した elevated reservoir 法により, 出血性ショックモデル (非妊成熟, 妊娠家兎) を作成し, ショック時の代謝動態に対し酸化還元電位, 過剰乳酸および酸塩基平衡を指標として検討した結果, 次のような成績を得た. 1) 乏血量性ショックにおいて, 酸化還元電位は低下し, 過剰乳酸は増加していくが, その変化は鏡面像を示し, 逆相関関係が認められた. 2) 非妊群の酸化還元電位対照値は動脈血-247.08±1.31mV, 静脈血-243.75±1.08mVであった. 脱血後の変化をみると, 動・静脈血ともに平均値では5分後より低下を認めたが, 動脈血では40分後より, 静脈血では5分後より有意の低下を示した. 3) 妊娠群の酸化還元電位対照値は動脈血-246.21±1.79mV, 静脈血-244.64±1.78mVであった. 脱血後の変化をみると, 動・静脈血ともに平均値では5分後で一時上昇がみられ, 20分後より低下したが, 有意の低下は60分後静脈血でのみ認められた. 4) 酸化還元電位の差は両群ともに静脈血において, 動脈血より常に大きく, 非妊群では20分値に, 妊娠群では60分値に著明な差が認められた. 5) 酸塩基平衡では両群で大きな差は認められず, 20分後より代謝性アシドーシスの進行が著明であった. また, 酸化還元電位と Base excess との間に相関関係が認められた.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1974-06-01
著者
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