マウス受精卵の腎被膜下移植に関する基礎的研究 腎被膜下移植胞胚の発育に及ぼす宿主の影響について
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概要
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母体と胎児の組織適合抗原 (histocompatibility antigen, H 抗原)が互に異なっていても, 胎児は母体によって拒絶されない. このような拒絶反応防禦機序の一端を解明するため, マウス胞胚を腎被膜下に移植して, 基礎的な検討を行った. その結果, 1) 胞胚の腎被膜下着床率, 胎児への分化率および腎被膜下の胎児および trophoblast (tr.) の生存期間は, 宿主のH抗原, 性別, 妊娠の有無および黄体ホルモンの投与の如何に影響されなかった. すなわち, 各群とも, 着床率は約80%, 胎児への分化率は40〜45%, 胎児およびtr. の生存期間は, それぞれ移植後8日間および20日間前後であった. 2) 腎被膜下tr. の腎実質への浸潤の程度と宿主のH抗原および妊娠との間には, 何らの相関も見い出せなかった. 3) 妊卵の着床, 発育およびtr. の浸潤は, 宿主によって調節されるのではなく, 妊卵自身に遺伝的に賦与された特性によって規定されているものと思われる.
- 社団法人 日本産科婦人科学会の論文
- 1974-03-01
著者
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