新生児食道内圧呼吸曲線に関する研究 : (第2報)食道内圧呼吸曲線の意義について
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概要
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著者は第1報で, 新生児に負荷を加えずしかも自然な状態で長時間呼吸曲線を記録する方法として食道内圧の変動を電気的に記録する方法について検討した. 今回は更に新生児中枢不全, 肺不全等の新生児疾患の診断へ応用せんと試み, 成熟児110例226回の記録, 未熟児43例72回の記録, 満期産未熟児17例, 早産未熟児16例, 総計186例の新生児食道内圧呼吸曲線の記録から次のような成績を得た. 即ち食道内圧呼吸曲線と基線(圧が±0)との関係からP_<I-III>型, 呼吸曲線のリズムによりR_<I-IV>型及び呼吸1回の山の波形からB_I (+)(-)型, B_<II> (+)(-)型にそれぞれ分類した. P分類: 成熟児は初めP_<II>型が約48%もあり, 逆に未熟児や高度未熟児及び新生児死亡例の大部分はP_<III>型を呈した. R分類: 生後5時間内で成熟児はR_<I. II. III>型共およそ同頻度に見られ, 不整なR_<III>型が相当あつた. 未熟児ではR_I型とR_<III>型とは並行し, R_<IV>型は生後24時間より増加した. 高度未熟児ではR_<IV>型が多かつた. B分類: 成熟児はB_I(+)型が殆んどで60〜80%以上. 占め, B_<II> (-)型が10%以下で4日以後は消失したが, 未熟児では約1/3以上にB_<II> (-)型が見られ生後4日目迄持続した. 満期産未熟児と早産未熟児では, 生後24時間前後でP_<II>型が, 後者は前者より2倍も多かつた. R_<IV>型は前者6.3%, 後者50.0%であつた. B_I (+)型は前者75.0%, 後者12.5%であり, B_<II> (-)型は前者25.0%, 後者62.5%を示し早産未熟児では満期産未熟児に比してP_<III>型, R_<III. IV>型及びB_<II>(-)型がかなり大きな頻度で出現した. 尚呼吸評価の未熟児死亡9例では, P_<III>型, R_<IV>型, B_<II> (-)型が多く陰圧の経時変動は, 成熟児に比して平均値も大きく又陽圧及び圧差(巾)は成熟児よりも低値を示した. 以上の結果から新生児食道内圧呼吸曲線のP_<III>, R_<III, IV>, B_<II>(-)型等々は, 未熟性の高度なものに出現し易く, これらの所見を今迄の呼吸評価法と併用すれば, この方法は, 新生児の中枢不全や肺不全などの診断上極めて有意義なことを知つた.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1966-04-01
著者
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