体外受精・胚移植における過排卵刺激法とその黄体機能の検討
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概要
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体外受精9胚移植における過排卵刺激法と黄体機能に関し検討した.過排卵刺激法としては,clomiphene citrate(CC)法(n=33)とCC/human menopausal gonadotropin(hMG)法(n=56)を用い,CC/hMG法ではさらに黄体期無治療群(CC/hMGNO)(n=21),黄体期progesterone(P)投与群(CC/hMG-P)(n=23),黄体期humanchorionicgonadotropin(hCG)投与群(CC/hMG-hCG)(n=12)とに分類した.CC法では全て黄体期に治療は行わなかった.CC群とCC/hMG全群を比較すると,吸引卵胞数,採取卵数,受精卵数,採卵前血清estradiol(E_2)peak値は全て後者が有意に高値であった.また,吸引卵胞数と採卵前E_2 peak値の間には両群とも正の相関が認められた.更に採卵前E_2 peak値と黄体期P最大値について,黄体期無治療のCC群とCC/hMGNO群を比較すると,両群とも正の相関が存在した.過排卵刺激法及び黄体期治療法により分類し黄体機能を比較検討すると,黄体期P最大値と黄体期中期のP(ng/ml)/E_2(ng/ml)比は各々CC群36.5±4.0ng/ml,39.8±3.1,CC/hMG-NO群47.1±5.7ng/ml,36.0±4.6,CC/hMG-P群61.8±5.0ng/ml,32,8±3.5,CC/hMGhCG群84.9±7.7ng/ml,61.9±8.4であり,血清P値は黄体期に治療を行った群で高値の傾向があるものの有意差は認められず,また,P/E2比はCC/hMG-hCG群が他の3群に比し有意に高値であった.妊娠率は4群間に有意差は認められなかったが,P/E_2比が最も高値のCC/hMG-hCG群の妊娠率が最も低値であった.以上より,多数の卵を得るための過排卵刺激法としては,CC/hMG法がCC法に比し優れていた.また,黄体期に治療を行って,血清P値及びP/E2比が比較的高値となっても必ずしも妊娠成立に結びつかず,妊娠率向上には他の因子の解明も必要であると結論づけられた.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1987-11-01
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