妊・産・褥婦および臍帯血の血清C-Reactive Protein (CRP) の徴量定量とその臨床的意義

概要

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正常婦人,妊・産・褥婦及び臍帯血,合計261検体の血清CRP値を,modified single radial immuno-diffusionにより徴量測定して以下の結果を得た.1)正常婦人31例の血清CRP値は,0.5μg/ml未満のものが21例(68%),0.5μg/ml以上2μg/ml未満のものが8例(26%),2μg/ml以上のものが2例(6%)であった.2)妊婦の血清CRP値は,正常婦人より高値を示し,妊娠経過の進行とともに増加する傾向があった.血清CRP値が2μg/ml以上を示したものは,妊娠中期群では19例中6例(32%),後期群では39例中10例(26%)であった.3)妊娠中毒者では,5例中4例が正常妊婦の上限に近い増加を示した.4)分娩時・産褥期の血清CRP値は,極めて高値を示した.分娩時の血清CRP値は,分娩時間が12時間を超えた場合,12時間未満の場合と比べて,より高値を示した.5)産褥一ヶ月の褥婦20例の血清CRP値は,正常婦人と比べて,なお軽度の増加を示すものが多かった.6)分娩時母胎血中のCRP値は,極めて高値を示したにもかかわらず,その母より生まれた児の臍帯動・静動脈血中のCRP 値は極めて低く,検出する事はできなかった.以上,血清CRP値の微量定量により,妊・産・褥婦の血清CRP値の動態を明らかにし,産科領域における臨床応用の可能性を示唆した.
社団法人日本産科婦人科学会の論文
1979-07-01