ラット胎盤絨毛組織におけるCa^<2+>,phospholipid-dependent protein kinase (C-kinase)の基礎的研究

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Ca^<2+>、phospholipid-dependent protein kinase(C-kinase)は細胞内に存在し、細胞外のホルモンなどの情報を細胞内に伝達する機構の一端を担っており、種々の細胞内蛋白質を燐酸化することにより、発癌作用や血小板からセロトニンを放出する作用など、組織特有の機能発現に関与することが報告されている^<12)14)>。しかし、胎盤における本酵素の存在およびその作用についての報告は現在までまだなされておらず、胎盤の迅速な発育とその維持におけるC-kinaseの関与の可能性を考え、まずラット胎盤からの酵素の抽出ならびに胎盤における本酵素の生理的役割について、生化学的検討を行った。その結果、初めて胎盤絨毛組織でのC-kinase の存在を明らかにし、また本酵素が胎盤の発育と維持、さらに機能制御に関与し、妊娠各時期における特異的な機能発現機構に深く関連している可能性を推測させる次の成績を得た。1)胎盤絨毛組織の膜分画にC-kinase が多く認められた。2) C-kinase により燐酸化された胎盤組織の蛋白は妊娠中期と末期では異なっていた。3)胎盤絨毛組織におけるC-kinase 活性は妊娠中期に比べ末期では約6倍高かった。4)Hemin、PolylysinがC-kinase 活性を著明に抑制したことから、in vivoでの本酵素活性調節機構解明への新たな手段の一つを得た。5)ラット胎盤から得られたC-kinase は、他の臓器に由来するC-kinase と基質特異性を同じくすることが明らかとなり、胎盤においても本酵素が他の組織と同様な情報伝達機構に関することが示唆された。
社団法人日本産科婦人科学会の論文
1987-02-01

ラット胎盤絨毛組織におけるCa^<2+>,phospholipid-dependent protein kinase (C-kinase)の基礎的研究

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