主成分からみた周産期妊・産・褥婦の異常の構造的特長
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概要
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High risk妊娠の早期診断法を確立するためには,まず,母体・胎児・新生児の異常が多く発生する周産期の妊・産・褥婦における異常の構造的特長を明らかにすることが必要である.本研究においては,この目的のために,29種類の周産期妊・産・褥婦の異常を小項目とし,さらに,これを6種類の大項目に分類し,各大項目を変量として,上記の異常を合併していた860名の周産期妊・産・褥婦に対し主成分分析を行い,以下の結果を得た.I)抽出された3主成分の累積変動寄与率は61.9%であった.II)大項目による解析結果ならびに大項目と小項目の関連分析の結果から,各主成分は次のように解釈された.第1主成分において負荷が大きい大項目の特長は,1)後期妊娠中毒症,特に軽症,2)低在横定位,CPD,癒着胎盤,前頭位などの産科手術の適応となる分娩時の異常,および,3)吸引分娩術,胎盤用手剥離,帝王切開術,鉗子分娩術などの産科手術に存在することが判明し,第1主成分は胎児の産道通過障害に関連する主成分と考えられた.第2主成分では,負荷の大きい大項目の特長は,1)胎盤機能不全,2)弛緩出血,頚管裂傷,陣痛微弱,軟産道強靱などの子宮機能障害,および,3)胎児の産道通過障害以外の適応による産科手術に認められ,第2主成分は子宮・胎盤機能障害,ならびに産道通過障害以外の適応による産科手術に関連する主成分と考えられた.第3主成分は,負荷の大きい大項目の特長が心疾患,肝炎,梅毒などの妊娠偶発合併症にあり,これらに関連する主成分と推測された.III)上記の3主成分の主成分評点を,解析対象の妊婦が分娩した早期新生児の状態に関する8項目で層別し,両者の関連を検討すると,第1主成分評点と出生体重,発育状態,高ビリルビン血症,アフガー・スコア,羊水過度吸引症候群との関係からみて,第1主成分の解釈は妥当であると考えられた.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1982-03-01
著者
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