分娩経過中における母体血中Prolactin濃度の低下と増加 : 陣痛ストレスの大きさとの関係
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概要
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14人の正常満期妊婦の血清Prolactin濃度(Prl)の,分娩経過中における変動を検討した.陣痛開始前に血清Prlの平均は169.1±19.8(SE)ng/mlと高値であった.陣痛開始による入院時に,これはやや低下していた.胎児娩出直前にはそれは有意に低下し98.8±15.6ng/mlとたった(p<0.01).胎児娩、出直後には,これはやや増加して116.8±15.6ng/mlとなった。これはまた陣痛開始前の値よりも有意に低値であった(p<0.05).これらは分娩経過と共に血清Prlが低下することを示す.以前に示したように,分娩経過中に血清Cortisolは次第に増加するので,陣痛がストレスとして働いていることは明らかである.ストレスは一般にPrlの放出を刺激することが知られている.従ってここに示した現象は,一見一般的なストレス反応に矛盾している.血清Prlの動きを症例別に検討すると,胎児娩出前には2例,娩出直後には6例に,分娩経過中に血清Prlが増加するものが見られた.これらの症例の血清Cortisolの陣痛開始前からの増加は,これらの症例以外のそれに比較して大きかった.これは,ストレスが大きい場合には,分娩経過中といえども矢張りPrlの放出が刺激されることを示す。以上の事実は,陣痛ストレスによりPrlは本来放出が刺激されることになるにもかかわらず,陣痛中の他の何らかの機序により,多くの場合にその放出が抑制されることを示唆する.
- 1982-01-01
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