hCG製剤中に存在する免疫抑制因子

概要

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概要同種移植としての胎児が母体から拒絶を受けない免疫学的機構を明らかにすることを目的として、hCG製剤(粗hCG)を分画、その免疫抑制活性について検討した。粗hCGをAmberlite CG-50カラムでhCG分画および非hCG分画に分け、さらに、hCG分画はSe-phadex G-100により精製、非hCG分画はSephadex G-75により二つに分画した。免疫抑制活性は、PHA刺激およびMLRにおける正常ヒトリンパ球の3H`ミシンの取り込みの抑制を指標として判定した。粗hCGは抑制活性を示したが、精製hCGには抑制活性が認められなかつた。非hCGは、粗hCGより強い抑制活性を示した。その活性は、分子量75、000〜100、000ダルトンに相当する一つの分画に強く集積された。免疫抑制活性は、70℃30分の熱処理およひ椿餅漆処理には抵抗したが、ノイラミニダーゼ処理に対しては感受性を示した。以上の成績は、粗hCG中に含まれる免疫抑制活性は、本来のhCGによるものではなく、熱およびトリプシン抵抗性の分子量75、000〜100、000の因子によるものであること、そして、この因子の免疫抑制作用の発現には、シアル酸残基が必須であることを示唆している。
社団法人日本産科婦人科学会の論文
1986-11-01