当科における穿孔性虫垂炎手術時術中腹水培養結果の検討 : 起因菌と抗生物質感受性は変化したか?
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概要
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【目的】当科における穿孔性虫垂炎手術時に採取した腹水の培養結果から, 起因菌種の動向を検索した.さらにその同定菌の抗生物質感受性の結果から, 妥当な術後抗生物質の選択を検討した.【対象と方法】1986年1月から2000年12月まで, 当科で手術を行った穿孔性虫垂炎164例のうち手術時腹水培養検査を施行した159例を対象とし, 腹水培養結果と同定菌に対する抗生物質感受性試験結果を集計した.そして前期(1986年-1992年, 86例), 後期(1993年-2000年, 78例)とに分け, 比較・検討した.【結果】159例中155検体において, 1検体あたり平均1.81±0.82の細菌が同定された.前・後期間では, 腹水培養施行率, 腹水培養陽性率に差はなく, 1検体当たりの平均陽性細菌数は後期で増加していた.同定菌種はEscherichia coli(E. coli)が最も多く(38.2%), 以下Streptococcus群(14.6%), Pseudomonas aeruginosa(Pseudo)(12.5%), Bacteroides群(10.8%), Enterococcus群(7.6%), Klebsiella群(5.6%)などであった.同定菌種の割合ではE. coliが後期で減少しStreptococcus群は後期で増加したが, Pseudo, Bacteroides群, Enterococcus群では両群間で差はなかった.抗生物質感受性試験では検索した抗生剤感受性の低下はなく, 当科の第一選択であるcefmetazole (CMZ)・amikacin (AMK)併用に対しても, 感受性は前・後期で比較して低下しているものはなかった.【結論】穿孔性虫垂炎の起因菌とそれらの抗生物質への感受性には大きな変化はなかった.従って術後使用すべき抗生物質の変更は必要ないと考えられた.
- 2002-06-20
著者
-
松本 勇太郎
いわき市立総合磐城共立病院小児外科
-
佐野 信行
東北大学小児外科
-
小田切 範晃
東北大学小児外科
-
小田切 範晃
慈泉会相澤病院外科
-
松本 勇太郎
いわき市立総合磐城共立病院 小児外科
-
小田切 範晃
市立総合磐城共立病院小児外科
-
石井 智浩
いわき市立総合磐城共立病院小児外科
-
松本 勇太郎
いわき市立磐城共立病院小児外科
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