子宮頚部腺癌の組織化学的検討 : その粘液組成と腫瘍マーカーCA125, CA19-9, CEAの組織内局在について

概要

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原発性子宮頚部腺癌33例と正常子宮頚管腺における各種粘液組成とCA125, CA19-9, CEAの組織内局在について組織化学的, 免疫組織化学的検討を加えた. 子宮頚部腺癌は組織学的に内頚管腺型, 腸型, 漿液型, 類内膜型, その他に亜分類される. 内頚管腺型, 腸型腺癌の粘液組成はsialomucinが優位で, シアル酸組成はO-acetyl-NANAであつた. CA125, CA19-9, CEAの組織内局在も高頻度で認められた. 一方, 漿液型, 類内膜型腺癌ではsurface coat型のsulphomucinが主体をなし, シアル酸組成はNANAであり, CA125, CA19-9の陽性率は低率であつた. また, adenoma malignumはsialomucinの増加とO-acetyl-NANAの出現, およびCA19-9, CEAの組織内局在を認め, 高分化型内頚管腺型腺癌に属することが示された. 以上の結果より, 子宮頚部腺癌は正常頚管腺と比較して粘液組成や, CA125, CA19-9, CEA等で示される糖鎖抗原の分布を大きく変化させる内頚管腺型, 腸型腺癌の群と, 変化の少ない漿液型, 類内膜型腺癌の群に2大別された. さらに今回検討した組織化学的, 免疫組織化学的手法はadenoma malignumを含む組織診断に有用であることが示された.
社団法人日本産科婦人科学会の論文
1988-04-01