高血圧を主徴とする妊娠中毒症における尿中カルシウム排泄とその発症予知
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概要
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近年, 高血圧を主徴とする妊娠中毒症(以下中毒症と略す)妊婦におけるカルシウム(Ca)代謝異常が注目されている. 我々は中毒症妊婦を尿中Ca (u-Ca)排泄の面から家族の高血圧の有無(以下家族歴と略す), 初経産別に分け正常妊婦と比較検討した. また, 中毒症発症予防として妊娠20週以前の経口Ca投与も注目されてきているが, Ca代謝よりみた予知法はまだなく, 我々はu-Ca排泄よりその予知を試みた. 妊娠36週正常妊婦249名と中毒症妊婦38名よりu-Ca, 尿中クレアチニン(u-Cr)を測定し, u-Ca/u-Cr比を求めた. 中毒症妊婦のその比は正常妊婦に比して有意な低値を示した. 家族歴の有無, 初経産別に4群に分けた検討では家族歴のない初産婦群において有意な低値を示した. 妊娠初期248名, 妊娠第6月348名, 妊娠36週393名の正常妊婦においてu-Ca/u-Cr比を求め, その後の中毒症発症率を検討した. 妊娠第6月と妊娠36週ではその比が低値の妊婦に中毒症発症率が高く, 特に家族歴のない初産婦群では有意に高い中毒症発症率を示した. 妊娠第6月のその群のreceiver operator curveより求められた中毒症発症のその比の閾値は0.06で, sensitivity 27%, specificity 95%, positive predictive value 58%, negative predictive value 84%であった. u-Ca排泄は中毒症妊婦, 特に家族歴のない初産婦群において正常妊婦に比して有意に減少し, u-Ca/u-Cr比の低下は中毒症発症に先行してみられた. 妊娠第6月以降のu-Ca/u-Cr比の測定は, 中毒症発症予知法として有用であると考えられた.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1992-11-01
著者
-
八神 喜昭
名古屋市立大学医学部産婦人科
-
八神 喜昭
名古屋市立大学 産婦人科
-
鈴木 佳克
名古屋市立大
-
山口 賢二
豊川市民病院
-
山口 賢二
名古屋市立大学 産婦人科学
-
村上 勇
名古屋市立大
-
林 好寛
名古屋市立大
-
林 好寛
名古屋市立大学産科婦人科学教室
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