同一子宮体癌より樹立した高分化腺癌, 明細胞癌培養細胞株(KCC-1a, 1b)における各種癌遺伝子(K, N-ras and N, c-myc)の特性の検討

概要

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同一腫瘍から樹立され, 形態学的に異なる2種類の子宮体癌細胞株について, ras, myc遺伝子の増幅と遺伝子関連蛋白の局在の検討を行った。1) Southern blot hybridizationによる遺伝子増幅の検討で, N-rasは, コントロールにも培養株相互間においても増幅を認めなかった。N-mycは, KCC-1bはKCC-1aに対して3〜5倍の増幅を認めた。K-rasでは, KCC-1bは, コントロールに対して明らかな増幅を示し, KCC-1aに対して10倍以上の増幅を認めた。c-mycは, コントロールに対して5〜7倍の増幅を認めたが, 培養細胞株相互間は有意な増幅の差異を認めなかった。2) ras関連蛋白質P21の組織局在の検討では原腫瘍の高分化腺癌で腫瘍細胞胞体に陽性であったが, 明細胞癌の部分では陰性であった。培養細胞においてKCC-1aは, 陰性であったがKCC-1bでは胞体内に陽性であった。3) KCC-1aとKCC-1bは, 同一腫瘍からのsubcloning cell lineであるにもかかわらず, その生物学的特性を大いに異にしていた。
社団法人日本産科婦人科学会の論文
1991-10-01