子宮頚部の熟化とProstaglandin I_2
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概要
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分娩時の子宮頚部熟化におけるProstaglandin I_2 (PGI_2と略)の役割を解明する目的で, 家兎子宮頚部におけるPGI_2合成活性(in vitro)の妊娠に伴う変動を, 組織および細胞レベルで検討し, 以下の成績を得た. (1)短時間組織incubation法により, 子宮頚部組織から緩衝液中に放出された6-keto PGF_<1α>(PGI_2安定代謝産物)量は, 非妊娠0.73±0.71ng/g. wet wt.に対し, 妊娠25日目頚部では6.16±4.00ng/g. wet wt.と有意に上昇していた(p<00.01). (2) PGI_2産生の前駆物質であるArachidonic Acid (A.A.と略)の遊離量をみるため, 頚部組織ホモジネート液を用い, L-3-phosphatidylcholine, 1-stearoyl-2-[1-^<14>C] arachidonyl (PC-^<14>C-A.A.と略)を基質としてincubation実験を行い, phospholipase A_2 (PLA_2と略)活性を非妊時と妊娠時で検討したところ, 妊娠25日目頚部のPLA_2活性は, 非妊時に比べ約4倍に上昇していた. (3) PGI_2産生細胞を同定する目的で, 家兎頚部を材料にout-growth法により, 線維芽細胞, 平滑筋様細胞の単離, 培養に成功した. (4) これらの細胞のソニケート液を酵素源として用い, ^<14>C-A.A.と反応させPG合成活性を検討したところ, 線維芽細胞ではPGE_2とPGF_<2α>を合成したが, 平滑筋様細胞では主にPGI_2を産生し, 他のPGはほとんど産生されなかった. (5) 妊娠25日目頚部より単離, 培養された平滑筋様細胞が培養液中に放出する6-keto PGF_<1α>は, 非妊頚部より単離, 培養した平滑筋様細胞のそれと比べ約3倍の高値を示した. 以上の成績より, 熟化子宮頚部では内因性A.A.を基質にした際でもPGI_2合成が促進していることが示唆された. また頚部由来の培養細胞を用いた実験の結果からPGI_2産生細胞が同定できた.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1990-07-01
著者
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