硬膜外麻酔下の吸引分娩の安全性の検討

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Bupivacainを用いた硬膜外麻酔(硬麻)下の吸引分娩(V.E.)の安全性についてCTGにおけるmodified Krebs score, Apgar score, 臍帯動脈血pH, PO_2, B.E., 臍帯動脈血Hypoxanthine (Hx), CPK, CPK-BB, Neuron specific enolase (NSE), c-AMPを用いて検討した. 合併症のない正期産頭位経膣分娩74例を硬麻V.E.群21例,硬麻群34例,非硬麻群19例の3群に分けて検討し, 以下の結果を得た. 1) CTGの分娩前30分のKrebs score, Apgar score, 臍帯血酸塩基平衡および臍帯血各種物質より判断して硬麻が児に悪い影響を与えないことが分かった. 2) 硬麻施行時における吸引分娩は, Apgar score, 臍帯血酸塩基平衡では異常なかったが, 臍帯血c-AMPは硬麻V.E.群89.92±60.89, 硬麻群44.65±20.91, 非硬麻群44.79±24.60(pmol/ml), 臍帯血CPK-BBは硬麻V.E.群13.63±12.04, 硬麻群6.26±5.24, 非硬麻群9.01±7.22(IU/l)と硬麻V.E.群において有意差を示した(Welch検定). このことは, 吸引分娩の直接的影響とただちに言えないにしても, 硬麻による怒責不全に対する吸引分娩には, 児の安全性に多少の問題点がある可能性を示唆した. 3) 臍帯血各種物質から児への影響を検討する場合, hypoxiaにより代謝過程が阻害され蓄積するHxや, 血液中に逸脱するのに時間を要す逸脱酵素CPK, CPK-BB, NSEの測定よりも, より早く血中濃度が上昇する細胞膜受容体活性の指標であるc-AMPの測定がもっとも有用であると思われた.
社団法人日本産科婦人科学会の論文
1989-07-01

硬膜外麻酔下の吸引分娩の安全性の検討

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