新生児壊死性腸炎 (NEC) 穿孔と新生児限局性腸管穿孔 (LIP) の臨床的検討 : LIP は NEC 穿孔と別の病態か?
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概要
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1979年1月から1996年6月までの期間に経験した新生児壊死性腸炎 (NEC) 穿孔18例と新生児限局性腸管穿孔 (LIP) 13例を比較検討した.両者間に有意差がみられたのは1) 発症日動 : 15.6日 vs 6.5日,2) 発症前の enteral feeding の有無 : 72% vs 23%, 3) 腹水培養による細菌の有無, 78% vs 23%, 4) 生存率 : 22% vs 53%の項目だった.LIP は全例が回腸末端の blow out 状の穿孔であり,他の部位の腸管の色調は正常であり,一期的腸吻合が多く施行された.また画像状 PI,PVG が描出された症例はなく,突然発症した気腹像が唯一の診断の決め手だった.一方 NEC の穿孔例は NEC の終末像としての穿孔形態をとっており,回腸を中心に広範な壊死ないし色調変化をともなっており,穿孔も多発しており結果として一期的吻合を施行した症例はなく,多くは腸瘻が増設されていた.画像上も PI が44%, PVG が22%の症例で陽性だった.以上より NEC 穿孔と LIP は未熟腸管に発症するという共通の基盤をもつものの,発症原因として前者では細菌の関与が強く示唆されるのに対し,後者では細菌感染以外の原因が働いているものと考えられた.したがって LIP は NEC とは別の entity として今後とらえるべきと結論した.
- 1997-04-20
著者
-
祐野 彰治
東京慈恵会医科大学第1外科
-
橋都 浩平
日本赤十字社医療センター小児外科
-
祐野 彰治
日本赤十字社医療センター小児外科・日本赤十字社医療センター新生児・日本赤十字社医療センター未熟児科・日本赤十字社医療センター麻酔科
-
仲西 博子
日本赤十字社医療センター小児外科・日本赤十字社医療センター新生児・日本赤十字社医療センター未熟児科・日本赤十字社医療センター麻酔科
-
橋都 浩平
日本赤十字社医療センター 新生児未熟児科
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