視聴覚刺激に対する運動能力の研究 : 第5篇 警音に対する自由運動能力
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概要
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警音刺激に対する自由運動能力の実験的研究を行ない,これを規定運動能力と比較し,また男女間,学年別に考察した.その要約は下記の通りである.(1) 男子の成績.身体反応時間は小学1,2年生111.3,101.6(単位 1 / 100 秒以下省略)に最も大きく,小学3年生57.7から漸次短縮して高校3年生40.3に及んだ.運動時間は小学生・中学生(44.1〜37.7)を通じて大差なく高校生27.1〜28.1に至って短縮を示した.両者を合計した総合時間は小学1,2年生152.7,144.1に最も大きく,小学3年生97.3で著明に短縮するが,以後漸減して高校3年生69.5に至った.(2) 女子の成績も男子の成績とほぼ同様な傾向を示し,身体反応時間は小学1,2年生123.5,101.3で最も大きく,小学3年生79.5から漸次短縮して高校3年生52.1に及んでいる.運動時間は小学1年生48.5から中学3年生39.1まで,学年毎に増減はあっても著明でなく,高校生に達して以後減少して3年生29.9に及んだ.総合時間は小学1,2年生167.3,146.5で最も大きく,小学3年生115.9で急激な短縮を示し,以後漸減して高校3年生76.5に至った.(3) 男女の成績を比較するに,身体反応時間は小学1〜2年生に於いては男女差を全く認めないが,小学3年生以上高校3年生まで女子は常に男子よりも長大時間を示した.運動時間は各学年を通じて男女間に差異を認めなかった総合時間は小学1〜2年生を除いて小学3年生以上高校3年生まで,女子は常に男子に比べて長大な時間を要した.小学1〜2年生に於ける特異な傾向を,刺激に対する彼らの心身受容状態の未分化・未発達に帰し,学年工場の推移と共に見られる身体反応時間・運動時間・総合時間の短縮を心身受容状態と筋力の発達に帰したことは,点光刺激実験に於けると同様の見解である.警音刺激に対する規定・自由両種運動に於ける,運動能力の差異は次のごとく要約される.(1) 男子に就いて.身体反応時間は小学1年生を除く各学年を通じて規定運動の場合は自由運動の場合よりも常に長大時間を要した.運動時間は小学生より中学・高校生に至るまで大差を認めなかった.総合時間は全ての学年に於いて規定運動の場合には自由運動の場合よりも長大であった.(2) 女子に就いて.身体反応時間・運動時間・総合時間に於いては男子に就いてとほぼ同様の成績であった.
- 1960-08-01
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