視聴覚刺激に対する運動能力の研究 : 第3篇 点光に対する自由運動能力
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概要
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身体運動時間の一新測定装置を用いて,点光を刺激として標準体位をもつ,小・中・高等学校生徒を対象とする実験群に対して第2篇記述の規定運動の場合よりも相対的に,より自由な運動を指示しての能力を測定して,次に記す成績を得た.(1) 男子の総合時間は小学1〜2年生155.3〜147.1(1 / 100秒単位,以下省略)に特に長いことを認めたが,学年進行の推移とともに,次第に短縮傾向を示して高校3年生65.3に及んだ.身体反応時間の推移もまた総会時間の推移と同様であった.運動時間は小学1年生45.1〜中学3年生37.7漸減するも有意差を認めず,高校生29.3〜25.9に至って確実に短縮した.(2) 女子の総会時間も男子と同様の漸減傾向を認め,身体反応時間もまた同じ傾向を示した.運動時間は小学1年生50.7〜中学2年生44.5まで漸減したが,中学3年生38.7に至って明らかに短縮して高校3年生31.2に及んだ.(3) 男女の成績を比較すれば,総合時間に於いては小学1年生〜2年生では全く差異が無かったが,小学3年生から高校3年生まで女子は男子より長い時間を示した.身体反応時間に於いても同様の成績を示した.運動時間は小学1年生から高校3年生まで差異を認めず,両者に漸減傾向を認めた.(4) 点光に対する規定・自由運動能力の差異を検討するに,男子では総合時間ならびに身体反応時間は,いずれも小学1〜2年生では,両者運動実験に於いて差異を認めない.これは運動指示の心身の需要・反応状態が未分化なためと解せられる.小学3年生から6年生までは恒に規定運動は,自由運動よりも長大は時間を要した.これは運動指示が規定指示にあっては自由指示よりも強大なために,特に身体反応時間に抑制的に働いたためであると解した.運動時間に於いても小学3年から6年生までの間,この抑制が働いたが,中学1年生から以上の学年にあっては,これが認められなかった.これはおそらく適応の発達によるものであろう.(5) 点光に対する規定・自由運動能力の差異を女子についてみると,総合時間ならびに身体反応時間については,小学1年生から高校3年生に至るまで,規定運動に際して自由運動に於けるよりも大きい時間を必要とした.しかし運動時間については,小学1〜2年生は男子と同様で,精神的抑制傾向を認めないが,それ以後の学年ではそれを認めた.しかもこの傾向は男子よりも女子の方が,高学年すなわち中学3年までに及び,高校1年生にいたってはじめて領運動能力の差異が殆ど見られなくなった.
- 1960-08-01
著者
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