下肢切断者の体力低下と全身持久力訓練の効果
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概要
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本研究の目的は下肢切断者の体力を評価し,全身持久力訓練の効果を検証することにある.対象は片側下肢切断者26名(平均年齢25.5歳)で,同年齢層の健常者14名(平均年齢25.5歳)を対照群とした.体力の指標としては最大酸素摂取量,AT,最大負荷量を用い,その評価のために片脚エルゴメータ負荷テストを実施した.また26名の切断者のうち10名に対し全身持久力訓練を行い,それによる最大酸素摂取量,AT,最大負荷量の変化を検討した.切断者の最大酸素摂取量,AT,最大負荷量はそれぞれ平均で21.3ml/kg/min,13.4ml/kg/min,77.0W,健常者ではそれぞれ24.9ml/kg/min,14.8ml/kg/min,111.6Wであり,切断者では最大酸素摂取量,AT,最大負荷量ともに健常者に比べ有意に低下していた.全身持久力訓練を行った切断者の最大酸素摂取量,AT,最大負荷量はそれぞれ平均で26.9ml/kg/min,15.7ml/kg/min,98.4Wでほぼ健常者のレベルにまで改善した.今回調査した切断者は比較的若年であったが,健常者に比べ明らかに体力の低下が認められた.さらに全身持久力訓練を行った切断者では健常者レベルまでの体力の回復が見られた.本研究の結果から,切断後可及的早期に体力の改善を図るための適切な運動処方を行うことが,廃用性に低下した切断者の体力を回復させる上で極めて大切であることが示唆された.
- 社団法人日本リハビリテーション医学会の論文
- 1999-05-18
著者
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陳 隆明
兵庫県立総合リハビリテーションセンター
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澤村 誠志
兵庫県立総合リハビリテーションセンター
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澤村 誠志
兵庫県立総合リハセンター
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中川 昭夫
兵庫県立総合リハビリテーションセンター福祉のまちづくり工学研究所
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藤田 久夫
兵庫県立総合リハセンター中央病院
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中島 咲哉
日本リハビリテーション医学会障害保健福祉委員会
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中川 昭夫
兵庫県立総合リハビリテーションセンター
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中川 昭夫
兵庫県立福祉のまちづくり工学研究所
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中川 昭夫
兵庫県立リハビリテーションセンター
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中川 昭夫
大阪電気通信大学 医療福祉工学部
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中島 咲哉
兵庫県立身体障害者更正相談所
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藤田 久夫
兵庫県立総合リハビリテーションセンター整形外科
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中川 昭夫
兵庫県立総合リハビリセンター 福祉のまちづくり工学研究所
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