画像解析によるダイズ草姿の定量的評価
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概要
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ダイズ草姿は受光態勢,耐倒状性等に反映しひいては収量に関係する形質として育種上選抜の対象となっている.しかし,草姿の評価は多分に定性的で,育種家の経験的な判断によっているのが現状である.そこで本研究は近年発展の著しい画像解析技術を利用してダイズ草姿を定量的に評価する方法を考案しその育種への応用性を検討することを目的としている.開花後ぽぽ草姿が固定した時期に,ダイズ植物体を子葉節で切断し,白板の上に1個体ずつ配置してビデオで録画した.ビデオ画像をデジタル化後ダイズ草姿部分のみを摘出した二値画像を得た(Fig.1).その画像を主茎上の数点の直線近似で求めた直線(主軸)に平行でかつ各辺が二値画像とちょうど接するような長方形で囲み(Fig.1),各辺の長さで植物体の高さと幅を定義した.さらにその長方形を垂直・平行の2方向に走査し,二値画像で植物体の占める画素数についてふたつの周辺頻度分布を求め,垂直走査に対しX分布,平行走査に対しY分布とした(Fig.2).以上の操作でダイズ176品種875個体を解析した.その結果,植物体の全高が調べた全植物体で等しくなるように相似変換して大きさの要因を取り除きX,Y分布を表わすとその分布形が草姿の特徴をうまく表現していることが示された(Fig.3).さらに植物体の実幅,実高,相似変換で標準化された植物体の幅,植物体の倒伏などによる歪みの指標と考えらる主軸位置とX分布の平均位置の間の絶対偏差などに加え,各分布の平均,標準偏差,歪度,尖度,一様度(一様分布からの絶対偏差の和)など合計18個のパラメータを草姿の形状指数と定義した(Table 1).ダイズ育種家による経験的な判断に応じて与えられたスコアとそれら形状指数間の相関係数は全般に低く(Table 3),ひとつの形状指数単独ではそのスコアを説明できなかった.しかしそれら全てを同時に用いた判別分析ではとくに「形状良好」と育種家に判定された個体のうち90%以上が同様に判別され(Table 4),今後いくつかの改良を重ねることで選抜の補助手段として利周可能なことが示された.
- 1991-09-01
著者
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