出穂開花期冷害の発生気象条件下における日本イネの稔実能力維持期間とその品種間差異
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
人工光環境調節装置内で水耕法により養成したイネ品種フジミノリを供試し,出稿始めから標準日射恒温・標準日射変温・弱日射恒温・弱日射変温条件下で完全米比率80%の稔実を維持できる期間(稔実能力維持期間)を求めた.10℃〜15℃の温度域での不稔の発生は,日射量の多少,最高・最低および日平均気温の高低よりも冷温期間の長さに強く影響を受け,稔実能力維持期間は6〜8日間であった.出穂開花期冷害が発生しない限界温度(稔実下限温度)を異にする15品種を供試し,弱日射6恒温条件で検定したところ,15℃では稔実能力維持期間に0〜8日間の品種間差異が認められた.そこで,日本のイネ77品種について弱日射15℃恒温条件での稔実能力維持期間を調査した結果,北海道と東北の品種は4〜8日,東海近畿,中国四国および九州の品種は0〜4日で,寒冷地品種は暖地品種よりも稔実能力維持期間は長かった.稔笑下眼温度の低い品種は稔実能力維持期間が長い傾向にあるが,必ずしも一致しないので,品種の出穂開花期耐冷性は両特性を考慮して判定する必要がある.
- 日本育種学会の論文
- 1990-12-01
著者
関連論文
- イネの出穂開花期耐冷性の強品種と弱品種の寡照冷温下における開花と稔実の特徴
- 142 人工光環境調節装置と水耕法を用いた無分けつ主稈個体の周年多量養成法
- 出穂開花期冷害の発生気象条件下における日本イネの稔実能力維持期間とその品種間差異
- 日本のイネ品種の出穂開花期における耐冷性とその地域的特徴
- イネの出穂開花期における耐冷性検定方法
- 122 水稲の穂ばらみ期の耐冷性に関する品種間差異の成立原因 : 日本品種の穂ばらみ期障害型冷害が発生しない低温限界
- 78 水稲の穂孕期障害型冷害に関する研究 : 穂孕期障害型冷害の発生気象条件
- 55 水稲の遅延型冷害の研究 : V. 低温・寡照条件下における籾重の増加
- 47 遅延冷害の研究 : IV 低温下における登熟の機能保持日数と障害発生機構
- 水稲の出穂性
- 気象要因による水稲生育の変動性に関する研究 : IV. 生育温度の差異または播種期の変更に伴う品種の出穂日数の制御要因の変化
- 93 遅延冷害の研究 : III 低照度下の温度転差と水稲の穂抽出、開花、受精、肺乳生育の関係
- 気象要因による水稲生育の変動性に関する研究 : III. 感温性,感光性および基本栄養生長性と自然日長下における出穂の温度反応の関係
- 61 水稲の遅延冷害の研究 : 2. 出穂・開花・受精(胚乳発育)の限界温度とその限界日数
- 60 水稲の遅延冷害の研究. : 1. 出穂・開花・受精(胚乳発育)・登熟の限界温度
- 7 気象要因による水稲生育の変動性に関する研究 : VI 人工光制御環境下における水稲の登熟速度と温度
- 気象要因による水稲生育の変動性に関する研究 : 第2報 生育温度の差異と稚苗および成苗移植栽培における品種の出穂変動
- 9 気象要因による水稲生育の変動性に関する研究 : III 移植期を異にする品種の出穂日の生育温度の差異による変動
- 気象要因による水稲生育の変動性に関する研究: I.生育温度の差異による水稲の出穂変動性の品種間差異
- 65 水稲生育の気象要因による変動性に関する定量的研究 : II. 生育温度の変化と稲品種の成苗および稚苗栽培条件下の出穂変動について
- 制御環境下におけるイネの出穂におよぼす日長・温度および窒素レベルの影響