気象要因による水稲生育の変動性に関する研究 : IV. 生育温度の差異または播種期の変更に伴う品種の出穂日数の制御要因の変化
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
品種の感温性(X_1),感光性(X_2),基本栄養生長性(X_3)を人工光源の制御環境下にて検策すると共に,自然日長下における出穂日数(Y)を開放型変温装置を用い生育温度を1.5℃間隔で5段階に変え,また播種を20日間隔で4回変えて調査した。出穂日数(Y)と感温性(X_1),感光性(X_2),基本栄養生長性(X_3)の重回帰分析を行い,以下の結果を得た。品種の感光性(X_2)は偏一回帰係数が高水準で有意を示し,標準偏回帰係数が著しく大きいことから出穂日数(Y)に対し最も重要な働きを示す。基本栄養生長性(X_3)の出徳目数(Y)に及ぼす影響力は,感光性に次くがその働きは弱い。感温性(X_1)は品種の出徳目数(Y)の制御にほとんど関与しない。品種の出穂日数と3つの制御要因の関係は気象(温度)変動下において変化しない。以上の関係は東北地域の早期,普通栽培下において認められる。栽培期間の温度が比較的高く,日長が相対的に短い晩期栽培では,感光性の出穂同数に及ぼす制御カが減少し,基本栄養生長性の制御力が増加し,感温性の出穂日数に及ぼす作用性が認められる。日長が相対的にさらに短い極晩期栽培では基本栄養生長性>感光性>感温性の順序で出穂目数に影響を及ぼすと推察された。
- 日本育種学会の論文
- 1980-12-01
著者
関連論文
- イネの出穂開花期耐冷性の強品種と弱品種の寡照冷温下における開花と稔実の特徴
- 142 人工光環境調節装置と水耕法を用いた無分けつ主稈個体の周年多量養成法
- 出穂開花期冷害の発生気象条件下における日本イネの稔実能力維持期間とその品種間差異
- 日本のイネ品種の出穂開花期における耐冷性とその地域的特徴
- イネの出穂開花期における耐冷性検定方法
- 122 水稲の穂ばらみ期の耐冷性に関する品種間差異の成立原因 : 日本品種の穂ばらみ期障害型冷害が発生しない低温限界
- 78 水稲の穂孕期障害型冷害に関する研究 : 穂孕期障害型冷害の発生気象条件
- 55 水稲の遅延型冷害の研究 : V. 低温・寡照条件下における籾重の増加
- 47 遅延冷害の研究 : IV 低温下における登熟の機能保持日数と障害発生機構
- 水稲の出穂性
- 気象要因による水稲生育の変動性に関する研究 : IV. 生育温度の差異または播種期の変更に伴う品種の出穂日数の制御要因の変化
- 93 遅延冷害の研究 : III 低照度下の温度転差と水稲の穂抽出、開花、受精、肺乳生育の関係
- 気象要因による水稲生育の変動性に関する研究 : III. 感温性,感光性および基本栄養生長性と自然日長下における出穂の温度反応の関係
- 61 水稲の遅延冷害の研究 : 2. 出穂・開花・受精(胚乳発育)の限界温度とその限界日数
- 60 水稲の遅延冷害の研究. : 1. 出穂・開花・受精(胚乳発育)・登熟の限界温度
- 7 気象要因による水稲生育の変動性に関する研究 : VI 人工光制御環境下における水稲の登熟速度と温度
- 気象要因による水稲生育の変動性に関する研究 : 第2報 生育温度の差異と稚苗および成苗移植栽培における品種の出穂変動
- 9 気象要因による水稲生育の変動性に関する研究 : III 移植期を異にする品種の出穂日の生育温度の差異による変動
- 気象要因による水稲生育の変動性に関する研究: I.生育温度の差異による水稲の出穂変動性の品種間差異
- 65 水稲生育の気象要因による変動性に関する定量的研究 : II. 生育温度の変化と稲品種の成苗および稚苗栽培条件下の出穂変動について
- 制御環境下におけるイネの出穂におよぼす日長・温度および窒素レベルの影響