気象要因による水稲生育の変動性に関する研究: I.生育温度の差異による水稲の出穂変動性の品種間差異
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概要
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開放型変温装置を用いて盛岡の自然温度の推移に対し+3, +1・5, 0, +1.5, +3℃の温度差を保つ処理区内で48品種の水稲を栽培し,生育温度の差に基づく品種の出穂変動幅の成因を,品種の最終主神葉数および出葉間隔の温度反応性から検討し以下の結果を得た。稲品種の出穂日の早晩の順序は,新・旧品種をとわず生育温度の差異による変動を示さず,比較的安定した形質であることを艦種の出穂の温度反応から明らかにした。生育温度の差による自然目長下における稲品種の出穂変動幅の成因と感温性の発現は,品種の生態反応から3区分できた。(1)早生種の生育温度の差による大きな出穂変動幅は,高温下の出葉間隔の短縮と主桿葉数(出穂までの積算気温)の減少,低温下の出葉間隔の遅延と主神葉数(積算気温)の増加に由来した。(2)晩生種の生育温度の差に基づく小さな出穂変動幅は,高温下における出葉間隔の短縮が主神葉数(積算気温)の増加により,また低温下における出葉間隔の遅延が主桿葉数(積算気温)の減少により相殺されることに起因した。(3)中生種の生育温度に由来する出穂変動幅は,主神葉数(積算温度)の変動が小さく,出葉間隔の温度処理区間の差に起因した。温度の変動に伴う品種の出穂変動幅は早生種から晩生種まで連続変異を示し,その変動幅の大きさは生育温度の差に比例し,出穂日数の増加と反比例した。
- 日本育種学会の論文
- 1976-12-01
著者
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