ニホンナシ花芽における自発休眠覚醒と過酸化水素の関係

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自発休眠覚醒と過酸化水素(H_2O_2)の関係を検討するために, ニホンナシ'幸水'花芽におけるH_2O_2含量を自発休眠期から他発休眠期にかけて調査した.H_2O_2含量は自発休眠期の発育ステージ(DVI)の高まりに伴って増加し, 自発休眠が覚醒した12月下旬にピークに達し, その後他発休眠期に減少した.一方, 11月1日から冬を通して温暖処理(25℃)をした花芽では, H_2O_2含量は低い値で推移し, また萌芽は3月末に至っても観察できなかった.このようなことから, 自発休眠期を通してのH_2O_2含量の増加は自発休眠覚醒と密接に関係していることが示された.また, 切り枝の花芽を用いて, 休眠打破剤シアナミド(0, 0.25, 0.5, 1.0M)を11月下旬と12月中旬に処理し, 萌芽率とH_2O_2含量の変化を調査した.自発休眠覚醒を促進したシアナミド処理は, 処理後1日目にはH_2O_2含量を減少させたが, 処理後3日以降には増加をもたらした.しかし, 自発休眠覚醒を促進しなかったシアナミド処理では, H_2O_2含量は減少し続けた.シアナミド処理後22日目の積算萌芽率と処理後6日目のH_2O_2含量との間には正の相関が認められ, シアナミドの自発休眠打破効果は低温条件と同様に, H_2O_2含量の増加と密接に関係していることが示された.以上の結果から, H_2O_2は低温要求に代替するものであり, またH_2O_2レベルの高まりは自発休眠覚醒に関連する一連の反応を始動させる要因であると考えられた.
園芸学会の論文
2002-09-15

ニホンナシ花芽における自発休眠覚醒と過酸化水素の関係

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