スイカにおける果実の硬さと組織・細胞の構造
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概要
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耐裂果性スイカの果皮特性を明らかにすることを目的として, 果皮の硬い品種と柔らかい品種の果皮の組織・細胞構造を調査した.また, 果皮の柔らかい栽培品種'紅こだま', 果皮の硬さが中程度の品種'嘉宝', アフリカ西部から導入した野生種で果皮の硬い系統'Africa 22857'など, およびその交雑後代を材料として果皮の硬さの遺伝と組織・細胞構造との関係を調べた.1. 果皮の硬い品種, F_2, BC_1個体は, 果皮の柔らかい品種, F_2, BC_1個体に比べて緑色組織が厚い傾向があった.また, 表皮から約2000μmまでの細胞は小さくて丸味があり, 単位面積当たりの細胞数が多いことが明らかとなった.緑色組織の内側に存在する厚壁細胞は果皮の硬い品種, F_2, BC_1個体では層状に厚く存在し, 一方果皮の柔らかい品種, F_2, BC_1個体では観察されないかまたは層数が少なかった.2. 細胞壁の厚さと果皮の硬さとの関係は認められなかった.3. '紅こだま'と'Africa 22857'を交雑親とし, このF_1, F_2およびBC_1の果皮硬度を調査したところ, 果皮の硬さは柔らかい側に部分優性遺伝した.4. 果皮の組織・細胞構造は遺伝的特性であり, 果皮の硬い'Africa 22857'の組織・細胞構造がF_2, BC_1個体からも観察された.
- 園芸学会の論文
- 1999-01-15
著者
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菅野 紹雄
野菜・茶業試験場
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杉山 慶太
野菜・茶業試験場久留米支場
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森下 昌三
野菜・茶業試験場久留米支場
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岩永 喜裕
野菜・茶業試験場久留米支場
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岩永 喜裕
農業・食品産業技術総合研究機構 野菜茶研
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