プラシカ属作物の開花における春化と日長の役割についての制御環境下での再検討
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概要
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Brassica campestrisの3変種に属する7栽培品種を用いて,その開花における春化と日長の役割をジベレリンとの関連においてファイトトロンを用いて研究した。 供試7品種中5種の日本品種(野沢菜,卯月小松菜,新山東菜,晩生真菜,四月しろ菜)は20日間種子春化しても,8時間日長下では花芽分化しなかった。GA3はこれらの植物に茎伸長をひきおこすが花芽分化させなかった。これらの品種では,GAは抽苔には直接関与しているが,花芽分化には直接的には関与していないものと結論される。 また,これらの結果より,プラシカ属野菜の開花における日長の役割を過少評価していた従来の説は訂正を必要とするものと判断される。 2種の中国品種は,その開花反応が特異である。葉心は春化要求の小さい中日性品種で,種子春化の有無にかかわらず24時間日長下8時間日長下ともに開花した。他方,紅葉苔は,春化要求は小さいが,典型的な長日植物であった。しかしながら,春化処理は長日要求に代替し,種子春化すると8時間日長下でも開花した。8時間日長下の非春化植物にGA3をやると開花をひきおこした。一方,種子春化した植物をGA生合成阻害剤のAncymidolで処理すると開花を阻害した。紅葉苔ではGAは,茎伸長だけでなく開花それ自体にもなにか役割を演じていると推定される。
- 日本育種学会の論文
- 1984-06-01
著者
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