イネにおけるヒドロキシ-L-プロリン耐性突然変異体の誘起と選抜
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概要
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イネ(品種,日本晴)におけるプロリンアナログの一種,ヒドロキシ-L-プロリン(Hyp)の生育阻害効果を明らかにし,Hyp耐性突然変異体の獲得方法について検討した。 0〜96時間吸水させた種子を,O〜10-3MのHyp溶液中で発芽,生育させた結果,Hypの生育阻害効果は5×10-5M以上の濃度で認められること,また前浸漬時間が長くなるに従って大きくなることが明らかにたった。 一方,γ線照射およびアジ化ナトリウム,エチレンイミン(EI),エチルメタソスルフォネート処理を行った後代のM_2種子を96時間吸水させた後,2×10-4MのHyp溶液中で14日間,さらに2×10-4MのHypを含む水掛液で14日間栽培した。その結果正常に生育をつづけた個体をHyp耐性変異体とした。約90,000のM_2個体から計27の耐性変異体を選抜することができた。これらの変異体のうち,24個体がM_3代における後代検定の結果から,Hyp耐性突然変異体として認められた。Hyp耐性突然変異の誘起に関してはEIがもっとも効果的であり,0.2および0.4%,2時間処理において,それぞれM_2個体あたり2.5×10-4,1.6×10-3の突然変異率(葉緑突然変異率の約1/10に相当)であった。 オオムギにおけるHyp耐性突然変異体においては,プロリン含量の増加がみられ,耐早。耐・塩性をもつことが知られていることを考えれば,本実験の結果は高アミノ酸含量および耐早・耐塩性作物の生理・遺伝研究に寄与する点が大きいと考えられる。
- 日本育種学会の論文
- 1983-09-01
著者
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