ハナショウブ(Iris ensata Thunb.)花粉の低温下における有機溶媒および乾燥貯蔵
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概要
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ハナショウブ(Iris ensata Thunb. var. ensata(Makino)Nakai, 2n=24)の種間交雑育種を進める上で,1つの障害は他種との開花期の不一致であり,これを克服するために花粉の貯蔵法を確立することは重要である。本報では,ハナショウブ花粉の寿命に対する有機溶媒および乾燥貯蔵の有効性について比較検討するとともに,貯蔵花粉の受粉による種子形成への影響についても明らかにした。 供試した8種類9通りの有機溶媒貯蔵(-20℃)の中で,貯蔵12ケ月後においてアセトンおよびアセトン前処理貯蔵が新鮮花粉と変らたい発芽能力を維持していた。次に,乾燥貯蔵下における花粉の発芽能力に対する温度の効果をみると,25℃区では3ケ月後に,また0℃区では6ケ月後に花粉はほとんど発芽能力を消失していた。しかしながら,-20℃区は新鮮花粉の発芽能力と比較して12ケ月後においてもほとんど低下を認めなかった。 低温下(-20℃)におけるアセトンおよび乾燥貯蔵12ケ月後の花粉の種子形成に対する影響をみると,正常種子の獲得数において両者とも新鮮花粉の場合とほとんど差がたかった。
- 日本育種学会の論文
- 1983-09-01
著者
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