イネの種子浸漬に伴う胚の発育とγ線、MMS、EMSに対する感受性の変化
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概要
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イネの種子浸漬に伴う胚の発育とγ線、MMS、EMSに対する感受性の変化との関係を知ることを目的とした。ハンガリー品種「ドンガムシャリー」の種子を25℃で0〜72時間浸漬し、浸漬に伴う胚の発育を水分含量、RNA合成、DNA合成、細胞分裂の増加などに基づいて追跡した。γ線、MMS、EMSに対する感受性の変化をM、芽生の生長阻害によって調べ、胚の発育により感受性の異なる次の3つの時期を認めた。(1)第1の時期は物理的な吸水によって胚の水分含量が急速に増加する浸漬開始後6時間までの時期で、MMS、EMSに対する感受性の減少が見られた。これは処理前の吸水によって薬品の稀しゃく効果が働くためと考えられた。(2)第2の時期は浸漬開始後6〜30時間までの時期で、この時期には胚の吸水は緩慢となるが、RNA合成が次第に益んになり、γ線、MMS、EMSに対する感受性が緩やかに増大した。(3)第3の時期はDNA合成およびそれに続く細胞分裂の開始される浸漬開始後30時間以上の時期で、胚の吸水は再び活溌となり、γ線、MMS、EMSに対する感受性が著しく増大した。さらに、この実験の過程で(1)MMS(<14>^CでラベルされたMMS使用)の種子胚への吸収は処理前の種子浸漬の時間や〓の有無によって異なり、また胚に吸収されたMMSを洗い去るには12時間以上の水洗が必要であること。(2)M_1芽生の生長阻害は出葉の遅延と成案長の減少からなり、標準区に対するパーセントで表わされるM_1芽生長は発芽初期には変動が大きいこと。(3)気乾種子処理によってM_1芽生の生長を50%阻害する線量と濃度は、γ線24krad、MMS 0.27%、EMS 2.25%であったが、浸漬種子処理では異なることなどが明かにされた。
- 日本育種学会の論文
- 1970-08-31
著者
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