稲の生育期間と収量および既料反応との関係

概要

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フィリピン国、ラグナ州、ロスパニオスにおいて、多窒素条件では、120日の生育期間を持つ品種が、また少窒素条件では150〜160日の品種がともに最高の収量をもたらした。多窒素条件での開花時光合成能力は、生育期間120日の品種において最も高く、また同時期の呼吸量は、非常に生育期間の長いものを除いては、生育期間の長いものほど大きい。少窒素条件での開花時光合成能力は生育期間130〜150日の品種が最も高く、同じく呼吸量については、品種の生育期間長にともなう変化はあまりない。多窒素条件では、開花期以後の同化能力が収量と密接な関連を持ち、生育期間の長い品種では、これが低い事がそれら品種の収量が低い理由である。少窒素条件では、開花以前により多くの炭水化物を貯え得る事と開花以後の同化能力が高い事が、生育期間の比較的長い品種が高収量となる理由である。一般的につぎの事がいえよう、すなわち最高収量をあげる為の最適生育期間長は、与えられた環境条件で異なり、多窒素条件下では少窒素条件下よりも短かい。非常に長い生育期間を持つ品種が、収量において窒素肥料によく反応する可能性はまずあり得ない。
日本育種学会の論文
1968-02-29