バレイショの茎葉から塊茎への物質転流に伴う炭素・窒素化合物の再編成

概要

論文の詳細を見る
バレイショ品種"男爵"の葉、茎、塊茎について、地上部最大期と収穫期に乾物、糖・デンプン、窒素、セルロース、ヘミセルロース、リグニン、可溶性アミノ酸類、タンパク態アミノ酸の量的変化を調査し、以下の結果を得た。1)茎葉では窒素量が78日目に最大となり、ついで乾物量が88日目に最大となり、その後収穫期まで低下した。また、茎葉における糖・デンプンの集積はきわめて少なかった。茎葉における最大集積量と収穫期の存在量から単純計算すると、茎葉からの減少量は収穫期における塊茎の窒素集積量の36%、炭水化物集積量の1.6%に相当した。2)葉の細胞壁を構成する物質のうち、地上部最大期から収穫期にかけて、ヘミセルロースが著しく減少し、セルロース、リグニンはあまり変化しないか、やや増加した。3)窒素を可溶性アミノ酸類、可溶性タンパク質、不溶性タンパク質に分けると、塊茎において可溶性アミノ酸類窒素の割合が約40%と著しく大きかった。4)可溶性画分中の主要なアミノ酸類はアスパラギン酸、グルタミン酸、アスパラギン、グルタミンで、それらの全アミノ酸量に対する割合は生育時期や部位による変動が大きく、葉、茎、塊茎へと向かうにつれてアスパラギンの割合が高くなり、塊茎においては約40%に達した。5)タンパク態を構成する各種アミノ酸類の割合は葉、茎、塊茎間や生育時期にかかわりなくほぼ一定で、グルタミン酸、アスパラギン酸が比較的多く、それぞれ全アミノ酸量中の約15%を占めた。6)タンパク態アミノ酸類と遊離アミノ酸類組成が葉と塊茎で大きく異なることから、炭素の組換えが著しいと推定される。
社団法人日本土壌肥料学会の論文
1988-06-05

バレイショの茎葉から塊茎への物質転流に伴う炭素・窒素化合物の再編成

スポンサーリンク

概要

著者

関連論文

スポンサーリンク