あぶらな類作物におけるアントシアニンの遺伝学的研究 1

概要

論文の詳細を見る
あぶらな類作物のアントシアニンを明らかにするために、Brassicaに属する5種、すなわちB. nigra, B.oleracea, B. rapa, B. napusおよびB. juncea, Raphanusに属するR. sativusを材料としてろ紙クロマトグラフ法にて実験を行なった。その結果、あぶらな類のアントシアニンは有機酸と結合した状態で存在しており、有機酸を除いたアントシアニンとしては、紫赤色を呈する植物体はRubrobrassicin(cyanidin 3-diglucosido-5-glucoside)を含み、朱赤色の植物体はRaphanusin(pelargonidin 3-diglucosido-5-glucoside)を含んでいることが明らかとなった。これら二種類の色素のうちRubrobrassicinは調査した全ての種にこれを含む品種が見いだされた。しかしRaphanusinを含む品種は根部を主目的として栽培しているBrassica rapaとRaphanus sativusにしか見いだせなかった。このことは朱赤色のカブの起源を考える上に興味深い。なお、関連して、Pelargonidin(朱赤色)とCyanidin(紫赤色)間の突然変異の方向についても論議した。
1967-03-25