茎頂培養によるアーモンドの増殖
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概要
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核果類の茎頂培養は1960年代に台木の大量増殖やウイルスフリー化を目的として始められた.アーモンドにおいても休眠芽を用いた茎頂培養が報告されているが,外植片として用いる茎頂の大きさが明らかにされていない(TABACHNIK and KESTER,1977).ウイルスフリー化を目的とする場合には茎頂を可及的に小さく切り取り培養することが重要である.筆者らは伸長中のアーモンドの新梢から茎頂部分0.5mmを取り出L培養したところ,芽条の増殖と発根に成功した.基本培地はMS培地の鉄を除く無機成分を規定の1/2濃度にした修正1/2MS培地(UEMATSU and AKIHAMA,1987)を用いた.これに4PU2.0〜4.0mg/l,活性炭2.0g/lを添加し,ぺ一パーウィック培地とした.40目問初代培養した時,70〜80%の高い生存率を示した初代培養後,基本培地に6-BA0.5mg/lを添加L,ゲルライト2g/lで固形化した増殖培地で継代培養をくり返した.40日ごとに継代を重ねると芽条の増殖率が高まり,9ケ月めには1回の継代培養で1個の茎葉から2〜18個の新しい芽条が形成され,増殖率は6.6倍に達した(Fig.2).また茎葉の節間も伸長し最大で3.8cm,平均1.5cmだった(Table2,Fig.3).増殖,伸長した茎葉を切り分けてNAA0.5mgμを含む培地に移植すると根が形成された.本研究の結果,アーモンドで0.5mmの茎頂を培養して芽条の増殖,発根に成功したので,今後この方法を用いることによりウイルスフリー化や自根苗の増殖が可能になると考える.
- 日本育種学会の論文
- 1987-12-01
著者
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