二粒コムギ(Triticum dicoccum)の穂形質と vulgare 及び吹伽遺伝子(Q,q)
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概要
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栽培型コムギにおける穂の形質の遺伝的分化の解明を目的として,四倍性コムギ(2n=4x=28,AABB)の一種であるTriticum dicoccum(二粒コムギ)の栽培品種について5A染色体上のvulgare(Q)-spelta(q)遺伝子座の遺伝分析を行ない,次いで遺伝子型の差が,四倍性コムギの穂型に及ぼす効果を研究し,育種学的考察を行った.供試栽培品種にはT. dicoccumの標準的穂型を示すLarge White emmer及びVernalemmerを選び, T. aestivum(普通系コムギ,2n=6x=42,AABBDD)のssp. vulgare(遺伝子型QQ)の栽培品種Chinese Springの5A染色体に関する異数性系統と交配し,雑種後代について穂型を調査研究した.特に前者の5A染色体についてはChinese Springの遺伝的背景へ染色体置換を行ない,B3F_4 世代まで育成し調査した. それらの結果, T.dicoccum 由来の5A染色体をもつ雑種系統はすべてスペルトイド(speltoid)またはスペルタ(spelta)型の穂型を示し,vulgare型(QQ型)植物は出現しなかった.すなわち,本実験において用いたdicoccumの2栽培品種の5A染色体上には,ともにspelta遺伝子,q,が座乗する(Fig.1〜3).
- 日本育種学会の論文
- 1985-09-01
著者
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