ミズタカモジグサの交雑親和性とコムギ及びオオムギとのF1雑種
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
ミズタカモジグサ(Elymus humidus Osada,2n=6x=42)を雌親とし,六倍性普通コムギ(Triticum aestivum L.,2n=6x=42),オオムギ栽培品種(Hordeum vulgare L.,2n=2x=14)及びテンキグサ(Leymus mollis Pilger,2n=4x=28)を花粉親とする属間交雑実験を行い,交雑親和性や得られたF1の細胞遺伝学的特異現象について研究した.着粒率には花粉親とした属間に明らかな差異がみられ,コムギとの組合せは平均5.4%,オオムギによる授粉では平均39.9%であった.胚培養による生育雑種F1植物数もオオムギとの組合せが高い値を示し,とくに成城1号との組合せは77.4%の発芽率を示した.しかし,生育個体数では45.2%に減少した.六倍性コムギとのF1植物の生育は良好で穂は両親の中間型であった.また,根端細胞では両親の半数染色体数の和の2n=42がみられた. 葯の裂開は全くなく,不稔であったが,コムギ親の授粉によって少数のBF1種子が得られた.オオムギとのF1では外部形態及び染色体数の変異が個体間に,また個体によっては同一個体内にみられた.根端細胞において両親の半数染色体数の和である2n=4x=28を中心として同一個体内の細胞間に染色体数の変異がみられる個体では葉身などに縦方向に縞状のキメラがみられた.また2n=21及び2n=24の個体も生じた.2n=21の個体はミズタカモジグサと同一形質をもつが,やゝ繊細な植物であり,オオムギの染色体の消失によって生じたミズタカモジグサの多倍数性半数体(2n=3x=21)であることが明らかである。
- 岡山大学の論文
著者
関連論文
- コムギに添加したアオカモジグサ染色体の伝達頻度と二染色体添加植物
- 日本列島の遺伝資源,とくにイネ科コムギ連およびタケ連の遺伝資源学的潜在性の考察
- ミズタカモジグサの交雑親和性とコムギ及びオオムギとのF1雑種
- アオカモジグサ(Agropyron ciliare)染色体のコムギヘの二染色体添加系統の選抜育成に関する研究
- イネ科植物の遠縁交雑親和性と種遺伝学(第22回種生物学シンポジウム : 交雑親和性と種遺伝学)
- 二粒コムギ(Triticum dicoccum)の穂形質と vulgare 及び吹伽遺伝子(Q,q)
- コルヒチン処理によるコムギとカモジグサ属の一種, Agropyron intermedium,との複二倍体種子の育成(英文)