柱頭毛数の品種間差異および柱頭毛におよぼす低温処理の影響 : イネにおける障害型耐冷性と花器形質との関係III
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概要
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障害型耐冷性における花器形質とくに柱頭の大きさの意義を明らかにするために,柱頭毛の数と分枝の状態およびこれらの形質におよぼす低温の影響について検討した.葯長,柱頭長の異なる日本型品種の全南風,染分とその雑種F_2分離個体ならびに柱頭長の異なる7品種を供試した.葯長,柱頭長ともに低温処理によって約10%の減少が認められた.無処理区においては,柱頭長と柱頭毛の数との間および柱頭長と柱頭毛の長さとの問に高い正の相関関係(それぞれr=0,872,r=0-992)が認められ,柱頭が長いものほど受粉可能な柱頭表面積が大きくなることが示唆された.また,低温処理による柱頭毛の数の変化は少ないが,分枝の少ない柱頭毛の比率が増加する傾向を示した.その結果,柱頭当りの総分枝数は低温処理によって著しく減少した.以上の結果から,柱頭の長いものは柱頭の短いものにくらべて受粉可能な柱頭表面積が大きいことによって受粉効率を高めていると考えられる.低温処理による柱頭長の減少は柱頭の長いものも短いものも10%程度で大差ないが,もともと柱頭の短いものでは低温処理による柱頭長の減少(受粉可能な柱頭表面積の減少)が受粉効率の低下に一層つながりやすいと考えられる.
- 日本育種学会の論文
- 1985-03-01
著者
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