イネにおける障害型耐冷性と花器形質との関係 : I.葯長および柱頭長の品種間差異と栽植密度の影響
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概要
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イネの障害型耐冷性と花器形質との関係を考察する際の基礎的知見をうるために,葯長および柱頭長の品種間養異と栽植密度の影響について検討した。日本,ソ連および韓国の83品種・系統(松尾1952の草型分類によるA型53,B型20,C型10)を用い,出穂時の葯長,柱頭長および1葯当りの花粉粒数を調査した。葯長,柱頭長ともに顕著な品種間差異が認められたが,葯長と柱頭長との間に相関関係は認められなかった。また,A型に属する品種・系統において,無芒種は有芒種(全穎花に長芒を有する品種・系統)に比較して短い綿および短い柱頭を有する傾向が認められ,芒性と葯長および柱頭長との関係が示唆された。葯長と1葯当りの花粉粒数との間に有意な正の相関関係が認められ,葯長で1葯当りの花粉粒数を推定できることが確認された。各品種ごとに葉色が均一となるように施肥量を調節した場合,葯長,柱頭長は稈長,穂長などよりも栽植密度による形質変化の程度が少ない。従って,葯長および柱頭長については,異なる栽植密度下の個体を用いて比較することも可能なことが示唆された。
- 日本育種学会の論文
- 1981-03-01
著者
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