日本各地のシバ(Zoysia japonica STEUD.)集団におけるパーオキシダーゼアイソザイムの変異
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概要
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北海道南部から九州にかけてわが国に広く自生しているシバ集団におけるパーオキシダーゼアイソザイムの変異について調査し,集団内変異ならびに集団間の類似性を検討した。1981年に日本各地から採集したシバ集団24集団について薄層ゲル等電点焦点法によりパーオキシダーゼアイソザイムの分析を行った。シバの成葉のパーオキシダーゼアイソザイムバンドは約20本出現した。一集団当り,50m以上離れて生育していた10個体について分析を行い,バンドの活性の程度により各バンドにスコアーを与えた。集団内におけるパーオキシターゼの変異を推定するために,集団毎に10個体の各2個体間についてバンドスコアーの相関を計45求め,それらの平均値を算出した。その結果,集団内変異が小さい集団として菅平,白老,猪ノ鼻及び外山があげられ,一方,大曲,刈和野,都城及び高知の集団では変異の程度が大きかった。概して放牧地から採集された集団では集団内変異が小さいという傾向がうかがわれた。 集団間の類似性を検討するために各集団10個体について各バンドの活性スコアーを平均し,それらについて集団間の相関係数を求め,クラスター分析を行った。系統樹と採集地の地理的位置との間には明らかな傾向は見出されなかった。しかしながら大野を除く北海道の3集団は他の集団とかなり離れており,遺伝子レベルにかたりの差異があると思われた。また宮崎県から採集された2集団も他の集団と距離があった。これらの集団の形成には Zoysia macrostachya 等,他の Zoysia の種が関係していることも推論された。一方,本州と四国で採集された集団については,大きな差異がなく,特に大笹,外山及び盛岡の集団はかなり類似していた。
- 日本育種学会の論文
- 1984-12-01
著者
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山田 敏彦
北海道農業試験場
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山田 敏彦
農林水産省東北農業試験場:(現)山梨県酪農試験場
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山田 敏彦
東北農業試験場
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福岡 壽夫
東北農業試験場
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福岡 壽夫
東北農業試験場:(現)九州東海大学農学部
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