水稲におけるモチ・ウルチの「区分キメラ米」の出現とその成因の仮説について(1)
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概要
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1964年2月筆者らは偶然の機会に水稲のモチ・ウルチ「区分キメラ米」を発見した。この「キメラ米」の胚乳は,ほぼ中央部にあるくびれによってモチ部とウルチ部とに区分され,不充分なはぜ化によるモチ米や,乾燥程度の不均一によってしぱしぱみられる,乳濁部と透明部とをもつモチ米とは明らかに異なる。後者ではいずれもヨード反応でモチ性を示すが,「キメラ米」ではくびれを境にして,明らかにモチ米およびウルチ米特有のヨード反応を呈す。このような米粒の発見については,おそらくこれまでにも報告された例がなく,したがってその成因については全く未知の分野に属するかと思われる。米粒発育の研究に造詣が深い名古屋大学の長戸教授および農業技術研究所の長博士らに御意早を求めた結果も,いずれもこのようた米粒を見聞されたことがたく,またその成因についても解釈に苦しむ点が多いとの返答に接した。このように,「キメラ米」の成因に関しては,すべてが今後の研究に得たたけれぱたらないが,とりあえず本報告では,発見の経緯,形態的特徴について報告するとともに,その成因の仮説等について若干の考え方を述べ,大方の御教示を仰ぎたい。
- 日本育種学会の論文
- 1964-09-25
著者
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