ラテン・アメリカ在来トウモロコシ品種の生育特性による品種分化中心の地域区分
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概要
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ペルー以南および南米内陸部を除くラテン・アメリカ各地のトウモロコシ27品種32系統(CIMMYTより分譲をうけた)を大阪府(34°35'N、135°35'E)において栽培した。原栽培地とは大きく異なる環境に反応して発現する生育特性によりこれらの在来品種を分類し、生育特性と原栽培地の地理的分布との関係を明らかにすることを目的とした。栽培結果から、特に早晩性、有効雌穂着生数(主稈当たり)、草丈および分けつ数において品種間差があらわれたので、品種比較には主にこれらの測定値を用いた。品種の早晩性は原栽培地の緯度と関連して発現する傾向があったが、一方、緯度に比較的関係のうすい品種間の類似もみられ、それによって供試したすべての品種は次の各地域に分布する5品種群に分類された。I.ウルグアイより西印度諸島に至る大西洋沿岸地帯、II.ユカタン半島を含むメキシコ低地、III.メキシコ中央高原、IV.北部アンデスよりメキシコ南部に至る地域の高地、V.コロンビア・エクアドル太平洋沿岸地帯。各地域内に一分布する品種間にはそれぞれ共通の遺伝子型が拡散し、そのため、同一地域に原栽培地がある品種は互いに類似した生育特性を大阪で発現したと考えられる。すなわち、各地域はトウモロコシの品種分化中心に相当すると考えられた。品種分化中心に関してBRANDOLINI(1970、1971)が行った地理的区分と、上記5地域とは一致しなかった。そこで、ここで得られた結果と従来報告されたラテン・アメリカ在来トウモロコシ品種に関する諸資料(WELLHAUSEN et al. 1952、その他)から品種間類縁関係の広がりについて考察した結果、BRANDOLINIの地理的区分よりはここで得られた5地域への区分の方が品種分化中心として、より合理的であるとの結論を得た。
- 日本育種学会の論文
- 1988-09-01
著者
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