大麦の出穂生理 : III. 秋播性大麦における幼苗期の低温及び短日感応
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概要
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(1)短目春化性に差の認められている秋播性裸麦ハニシリハダカとコピソカタギを用い,幼苗期の低温短日感応を調べるため,(A)低温短目共存区(戸外自然目長),(B)低温単独区(戸外24時間日長),(C)短日単独区(温室自然目長)の3区をもうけ,1葉展開迄→5葉展開迄処理し,後,高温長日に移し感応の程度及び進行の経過を調査、した。(2)更に,短目処理と低温処理の順序による感応の差を調べるため,低温単独区と短日単独区を作り,処理合計日数を如目とし,順序及び日数を種々に変えて感応の様相を調査した。(3)高温長日に移してから出穂迄日数により感応の程度をみると,どの区でも処理葉数が増大するほど出穂迄日数の減少がみられた。(4)低温単独区では品種間に差がないが,短目単独と低温短日共存区では2品種間に著しい差がみとめられ,いずれもコビンカタギの方が早く感応を終った。しかし,ハシリハダカの短目単独区を除げば,すべての区は4葉期迄処理には接近して抽り,おおむね3〜4葉期頃迄に感応は相当に進んでいるようである。(5)低温と短日を別々に与えた実験から推察すると,大麦では低温と短目の順序は欠きた意義をもたず,順序よりは短目春化性の大小が差とたってあらわれてくる。但しこの実験から,低温感応や短目感応は生育の初期において一層敏感であることが認められた。(6)ハシリハダカにおける低温短冒共存区と低温単独区(低温長日)の比較で,常に後者が早いことから,いわゆる低温感応と長日感応がある程度重復して受け得ることの可能性が推察された。
- 日本育種学会の論文
- 1963-03-20
著者
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