大麦の出穂生理 : II,異なる温度,日長で前処理した場合の出穂反応
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概要
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(1)播性,春化後の感光性について異なっている大麦8種(内野生大麦3種)を11月4日に播種し,12月24日迄異なった温度日長条件下で前処理L,12月25日に高温24時間日長(温室)に移,して出穂反応を調査した。(2)秋播性品種は高温長日下及び低温長日下で遅延するが品種間差があり,特に前条件下で著しい。春播性品種はこの両条件下で促進されるが、特に前の条件下で著しい。したがってこの二条件下で播性の差はもっとも大きくあらわれてくる。これらのことより秋播性品種の春化における短目の役割を推定できる。秋播性品種は短日だけでも叉低温だけでも春化を完了する。(3)高温短日下及び低温短日下で品種間差は少たい。短日条件下で播性による差がたくたるのは,高温下では春播性品種の短日遅延作用と秋播性品種の短日春化作用が,叉低温下では春播性品種の短日遅延と秋播性品種の春化作用が相殺しあうためである。(4)高温短日条件下では春播性品種中短冒遅延の少たい品種のみが著しく早く出穂した。(5)高温長日条件の様た春化しない条件下で秋播性品種も終りには出穂した。(6)春播性品種は低温時にも長日に感応して出穂を促進される。春播性のやや低い赤神力(III)は待に促進され,低温による春化と長日による促進とのある程度の重複の可能性も考えられる。(7)日長感応が温度により著しく影響をうける品種がある。印度大麦は高温短日で著しく遅延するが低温短日では遅延しない。この様た品種は暗期反応の高温による影響の待に著しいものであろう。(8)秋播性の野生大麦,H,spontaneum,H,murinumなどの短日春化性は特に著しい。(9)出穂迄日数と主桿葉数は,ほぼ平行的に変化する。
- 日本育種学会の論文
- 1961-03-25
著者
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