セイヨウナシ果実の潜在的褐変感受性とプロシアニジン高重合体の関係
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概要
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供試したセイヨウナシ果実の褐変潜在力は'Bartlett'(Ba),'Aurora'(Au),'Conference'(Co)および'La France'(LF)において低く,'General Leclerc'(GL), 'Grand Cham-pion'(GC),'Beurre Hardy'(BH)および'Josephine de Mal-ines'(JM)において高かった.Ba,Au,CoおよびLFにおいては含水アセトン抽出フェノール面分(AE)の含量は少なく,GL,BH,GCおよびJMでは多かった.後者4品種においては総フェノール物質含量中に占めるAEの比率が高かった.フラバン-3-オール化合物の含量は,Ba,Au,CoおよびLFにおいてはメタノーノレ抽出面分(ME)に多く,AEには少なかったが,GL,BH,GCおよびJMにおいてはAE中の含量がME中の含量と同等もしくは多かった.ブタノール-塩酸法とバニリン法の結果から,BaおよびAuのプロシアニジンの重合度はME,AE両画分中ともに比較的小さく,LF,GL,BH,GCおよびJMにおいては大きいと考えられた.8品種のポリフェノールオキシダーゼ(PPO)活性はそれぞれ異なり,LFで最も高く,GCにおいて低かった.JMより抽出したAEのプロシアニジン高重合体は粗PPOと反応しなかったが,クロロゲン酸の存在下では褐色の色調を強める作用を示した.以上より,プロシアニジン高重合体はセイヨウナシ果実の組織褐変に深く関係し,これらの成分を多く含む品種は褐変潜在力が高いものと考えられた.
- 2003-09-15
著者
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