ヒノキカワモグリガEpinotia granitalis Butler(チョウ目: ハマキガ科)幼虫による被害のスギCryptomeria japonica D. Don(スギ科)個体間変異
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概要
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ヒノキカワモグリガの防除において, 単木を対象とする場合と林分全体を対象とする場合のどちらが効果的な手段かを考えるために, スギ林分の個体間で被害程度に恒常的な差異がみられるかどうかについて検討した.その結果, 年毎の被害は特定の立木に集中せず, また, 植栽から伐採までの25年間に本種の加害回数の頻度はいずれの個体でも9回前後で似通っていた.これらの結果, 本林分において被害程度に恒常的な個体間差異が生じていないことがわかった.この理由は同林分の立木のDNA解析の結果から今回調査した林分が単一のクローンで構成されている可能性が高く, そのため, 産卵雌の寄主選好性や寄主植物の物理・化学的防御などにもとづく個体間差異が小さくなり, 特定の立木に被害が集中しなかったものと考えられる.さらに, 産卵部位や産卵時期および孵化幼虫の食入時期が特定の部位や時期に集中しないことから, 本種の出現期とスギのフェノロジーとの同時性のずれの程度によって, 被害の恒常的な個体間差異が発生するとは考えられなかった.今回の調査から, 林分が単一クローンで構成されている可能性が高い九州のスギ造林地では, 単木を対象とするより, 林分全体を対象とする防除がより効果的であると考えられた.
- 日本応用動物昆虫学会の論文
- 2005-08-25
著者
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