免疫部門
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概要
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1.自己免疫疾患の発病機構の解明を目的として, 細菌細胞壁ペプチドグリカン(PG)をラットに投与することにより, 病理学的にヒト慢性関節リウマチ(RA)に極めて類似した多発性関節炎のモデル動物の作出した。その結果を踏まえ, RAと変形性関節症(OA)患者から得られた滑膜細胞を週1回PGで刺激しながら培養し, その滑膜細胞の反応性を検討した。継時的に採取した培養上清中の各種サイトカインを測定すると, RAではOAに比しIL-6が著明に増加していたが, basic FGFではRAよりもOAで増加していた。一方VEGF並びにTGF-βは両者間で明確な差を認めることが出来なかった。また, 培養中OA由来の滑膜細胞は一部形態学的に変形し, 培養液中に浮遊する傾向にあった。RAとOAのPG刺激培養細胞テロメラーゼ活性を測定したが, 両細胞間で差を認めることが出来なかった。さらにこの問題については検討を加えたい。現在, アポトーシスの面からの検討も行っている。2.化膿レンサ球菌(Streptococcus pyogenes, Group A Streptococcus, GAS)の産生する発熱毒素, Streptococcal pyrogenic exotoxin-B (SEP-B)がヒト肥満細胞並びに好塩基球からの脱顆粒とヒスタミンの放出を誘導することを明らかにし, GAS感染症ないしはGAS感染に基づく敗血症性ショックの病態成立にヒスタミンの関与を示唆した。また, 劇症型A群レンサ球菌感染症患者血清中にヒスタミンが高値を示す症例が確認された。このヒスタミンの放出はCaイオン依存性であり, SPE-Bはヒト肥満細胞株, HMC-1の細胞膜に結合することが免疫電顕で確認され, その結合サイトはglyceraldehyde-3-phosphate dehydrogenaseであることが生化学的, 免疫学的方法並びにホモロジー検索から示唆された。最近, リコンビナントSPE-B (rSPE-B)の作製に成功し, 現在ではこのrSPA-Bを用いて各種の実験が行われている。これら一連の成果は第14回国際レンサ球菌シンポジウムで報告された。3.緑色レンサ球菌群の一つであるStreptococcus mitisの一部の菌株(Nm-65株)の産生するヒト血小板凝集因子(Sm-hPAF)の遺伝子クローニングを行い, 全塩基配列が決定され, その発現系の検討が行われている。
- 2000-03-25
著者
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