免疫部門
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概要
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I.化膿レンサ球菌(Streptococcus pyogenes, Group A Streptococcus, GAS)の産生する発熱毒素, Streptococcal pyrogenic exotoxin-B (SPE-B)はヒト培養マスト細胞, 同好塩基球, マスト細胞腫から樹立された細胞株(HMC-1)並びに末梢血好塩基球からヒスタミン遊離能を持つことを報告した。本年度はより詳細な遊離反応機構を解明していくための一環として, 組換え体SPE-B (recombinant SPE-B, rSPE-B)の作製を試みた。SPE-Bに特異的なプライマーを設計し, GAS, NZ131株の染色体DNAをテンプレートとしてPCRを行い, その増幅産物を精製し, pBlue-script IISK_+プラスミドベクターにクローン化後, このベクターをE. coli JM109にトランスフォームした。その結果, トランスフォーマントの培養上清中にSPE-B活性物質を採取することができ, さらにDEAE, matrix gel Red A, Sephadex G-50によるカラムクロマトグラフィーによりrSPE-Bの精製標品を得た。この研究は分泌型としてrSPE-Bを得ることができた最初の報告となった。II.緑色レンサ球菌群に属するStreptococcus mitisの一部の菌株が産生するヒト血小板凝集因子(Sm-hPAF)の遺伝子クローニングを行い, 全塩基配列が決定され, アミノ酸配列とともに, ホモロジー検索が行われた。その結果, ガス壊疽菌, リステリア菌, 肺炎球菌, さらには緑色レンサ球菌の1菌種であるS. intermediusの産生する溶血毒と極めて高い相同性が認められた。しかしSm-hPAFのN-末端より164残基まではこれらの溶血毒と全く相同性がなく, 165残基以降では50%以上の相同性が, またaaでの比較においては80%からの類似性があるにもかかわらず, Sm-hPAFには溶血活性が全く認められていない。Sm-hPAFを大きく3つのドメインに分け, 私たちが現在仮称しているDomain 0(1∿164残基), Domain 1∿3(165∿350残基)並びにDomain 4(351残基からそれ以降)の組み換え体蛋白をそれぞれ作製し, 発現したペプチドを用いて, 血小板凝集反応の阻害実験を試みると, Domain 0とDomain 1∿3により阻害が惹起された。このことはDomainn 0ないしはDomain 1∿3のいずれかにactive siteないしはbinding siteが存在することが示唆され, さらにこの反応機構についての実験がなされている。
- 日本医科大学の論文
- 2001-03-25
著者
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