免疫部門
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概要
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I.免疫学的研究 1)慢性関節リウマチ(RA)の発病機構の解明を目的とした研究を行っている : 細菌細胞壁ペプチドグリカン(PG)をラットに投与することにより, 病理学的にヒト Aに極めて類似した多発性関節炎モデルの作出に成功し, このラットから樹立したPG反応性T-細胞cell lineの解析と, RAと変形性関節症患者由来の培養滑膜細胞のPGに対する反応性の相違を遺伝子レベルで検討している。 2)即時型アレルギー関連では, 主にディーゼルエンジン排出ガス粒子(Diesel exhaust particulates, DEP)中のアジュバント活性因子の同定とその作用機構に関する研究を行っている : DEP中に含まれるpolycyclic aromatic hydrocarbons (PAHs)中のpyrene, anthracene, fluoranthene, benzo (α) pyreneがIgE抗体産生において, アジュバントとして働くこと, これらorganic compoundsはマウス腹腔マクロファージに作用して, O_2^-, IL-1αを誘導すること, 抗原とDEPまたはpyreneとを投与した免疫マウスの脾リンパ球を同一抗原で刺激すると, その培養上清にIL-4が産生すること, しかし, この産生は抗原単独投与のマウスリンパ球では認められないこと等を明らかにした。現在, PAHsのマウス鼻粘膜ないしはヒトマスト細胞に対する直接的な作用についての免疫病理学的な研究が行われている。 II.感染症ないしは感染アレルギーの研究 1)レンサ球菌感染後急性糸球体腎炎(PSAGN)患者から分離されたStreptococcus pyogenesの産生するStreptokinase (Nephritis strain-associated SKase, NSA-SKase)とその他の患者から分離されるS. pyogenesのSKaseとは一次構造におけるアミノ酸配列が, そのcenter regionにおいて著しく異なることを明らかにした。しかし, このNSA-SKaseがヒトのPSAGNの発症に関与する抗原であるか否かを明らかにする必要がある。 2)Streptococcus pyogenesの産生するStreptococcal pyogenic exotoxin-B (cystein proteinase)がヒト培養マスト細胞並びに好塩基球を刺激して, ヒスタミンを遊離させることを明らかにし, Streptococcus pyogenesの感染により起こる敗血症性ショックの病態成立にヒスタミンが関与することを示唆した。現在この放出機構についての検討が行われている。 3)緑色レンサ球菌群の一つであるStreptococcus mitisの一部の菌株(Nm-65株)の培養上清にヒト血小板凝集因子の存在することを見い出し, 本凝集因子(Sm-hPAF)の精製を試み, その生化学的, 生物学的, 免疫学的性状について報告すると共に, Cassette-PCR法を用いて遺伝子のクローニングを行い, 分泌型Sm-hPAFをコードする遺伝子の全塩基配列を決定した。現在, その発現系の検討を行っている。 4)上記のSm-hPAFによるPlatelet rich plasma (PRP)を用いた血小板凝集反応は全てのヒトのPRPで起こるわけでなく, この反応を阻害する因子を血漿中に持つヒトが存在することが明らかにされた。この阻害因子の精製とその性状の検討が行われている。
- 1999-03-25
著者
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